◇◇◇◇◇◇◇

アルゴに馬を渡し、彼を王都リアラへと見送った後、香は尚も丘に身を伏せたまま、ケシアの街を見続けた。

……男ばかりが目につく。

人質は?

皆殺しか……?

女がいないのであれば、香の姿は目立つ。

拠点となっているであろうダクダの屋敷に近づいたとしても、中で動けない。

その時である。

屋敷の北側の煙突から煙が出始めた。

確かアルゴが言うには、屋敷の北側には風呂と台所が横並びだとか。

……いってみるしか、ない。

香は、日が落ちるのを静かに待った。