美優は、光輝先輩に"迷惑をかけちゃって悪かったな"っていう謝る行為さえ出来ないから。
尚さんと、お母さんの死は、全く別の理由で、別の気持ちがある。
だから、光輝先輩が尚さんを亡くした気持ちは分からない。光輝先輩も美優がお母さんを亡くした気持ちも分からない。
だけど、美優は光輝先輩みたいに、"悪かったな"の一言も言えないかもしれない。いや…言えないに決まっている。
全て齋藤のせいにしている美優と違って、光輝先輩は自分も責めているってことだと思う。だって、謝る行為をしたんだから。
光輝先輩は一度は目を背け、人に当たり散らして居たのに、今は過去と向き合って前へ進む事が出来ているような気がする。
美優よりも短期間でその成長ができた光輝先輩が、少しうらやましい。
美優はいつに経っても、こんな時間が経っても、まだ前へ進むことは出来ていないのだろう。きっと。
光輝先輩を見習わなくちゃね。自分を守る為に。大好きな家族を悲しませない為に。そして…過去と向き合う為に…
美優は前へ進まなくてはならない。
こないだ、自殺をしようと家を抜け出した自分にバカげてきた。