キレイ…
素直に口から出る言葉。
美優はふと気がついた。
死んだら、こんなに綺麗な景色を見れないんだ。
そんなの当たり前なのに、今頃気がついた。
冷たい空気に当たって、少し冷静を取り戻しつつある美優は思った。
美優が死んだら、悲しむ人は居るのか?って事に。
お母さんが最後にくれたのは、新しい家族…それは最高のプレゼントだった。
その家族は、美優の一番の宝となって居て、一番大切な家族。
でも…ただただ、
苦しくて、悲しくて、辛くて、死にたくて、しょうがなかった。
これっぽっちも美優は、残された人達の事を、一つも考えられない。
最低だ。バカだ。
ここまで成長出来たのも、立ち直れたのも、家族のお陰なのに。
皆の優しさや、温もりや、気持ちを…全てあだとなって返す気?
美優あんたは、最低だよ。
2人の美優が、気持ちの中で言い合う。
"死んでもいいよ。"
自分を甘やかす美優。
そして…
"死んじゃダメ"
それに反対するもう1人の美優。
どっちが天使か悪魔かなんて、美優には分からなかった。
そして…
美優の手が、街中が見渡せるフェンスに手をかけた。