朝日が昇るのは、それからすぐの事だった。
早く駆け出したい衝動を抑え、美優はベッドから降りた。
「美優…大丈夫か?」
ずっとついて居てくれた竜が、クマを作った心配そうな顔で美優の顔を、覗き込んだ。
「…うん…」
美優は一生懸命平然を装った。
「…竜ありがとう。少し寝た方が良いよ?」
美優はそう言って、さっきまで居たまだ温かいベッドの上に、竜を寝かせた。
すぐに竜は疲れた体で寝息をたてはじめた。
美優はそっと玄関を開けると、まだ人気の無い朝日の色の住宅街を静かに歩き始めた。
肌寒い空気が気持ち良かった。
いつの間にか、自分でも意識なんてモノをしてないのに、ある場所に足を進める美優。
着いた場所は、あの公園だった。 家の次に落ち着く場所。
夕日とはまた一味違って、朝日に染まる街。