「大丈夫。大丈夫。俺が居るから…美優は大丈夫だよ?」

美優の背中を撫でながら、美優を宥めようとする竜。




美優はそれでも、恐怖で震えが止まらなかった。

いつかきっと、美優の前に姿を表すだろう齋藤を思い浮かべ、身を震わす。

消したくても、消したくても、消えない過去は
美優の心をズタズタに引き裂いていく。




齋藤から逃げて、ここに来てこんなに恐怖を感じた夢は初めてだった。

忘れられそうだった美優の記憶を、これ程かって言う程…掘り出してくる。




なんで、美優だけ?
もう嫌だよ…
死にたい。死にたい。
早くこんな恐怖から逃げたい。

齋藤がきて、殺される前に自分から死んでやる。

アイツに殺されるより、ましだ。




美優は頭を抱え、声の無い悲鳴をあげる。

早く…早く…
死ななきゃ…

そんな衝動を抱えて、美優は噛み締めた。

歯が欠けちゃう程、強く強く噛み締めた。