美優は自分の思った事、感じた事…
今まで溜め込んできたモノを、吐き出す様に
ゆっくり掠れた声で、竜に一つ一つ話した。
美優は夢の中だろう…
そんな思い違いに頼って、安心しながら言葉を並べていく。
いつしか、そんな美優の声がだんだん小さくなって言って、
いったん目の前が暗くなり、違う場面になる。
そこには、優しく微笑んで美優を待っている家族が居た。そこには、お父さん、お母さん、慶太、竜が家の前に立っている。
それに答えるように、美優が走り出したその時、右腕を誰かに捕まれた。
ハッっと
後ろを振り向くと、大好きなお母さんを殺したお父さんが居た。
お父さんは、美優の腕を離す気はなく、どんどん美優を引きずり、やっと見つけた暖かい家族から…
遠ざかって行く…
もがいても、もがいても
離れない。
「離してよ!」
無視をして、引きずり続けるお父さん。
こんなヤツ…お父さんなんかじゃない。
美優のお父さんは、あの家の前にちゃんと居る。
「齋藤さん!離して下さい!」
美優は、前まで自分の苗字だった名前で、美優を引きずる人の名前を言う。
一瞬止まって
「お前は俺の子だ。」