――コンコン――

何十分かして、部屋のドアが叩かれた。




「ちょっといい?」

光輝先輩だ…

寝ているふりでもしようか。そんな事を思っている間に2度目のノックがする。




諦めかけたのだろうか、足音が遠くなる。

そこで美優は、何かを探る様にドアを開けた。

光輝先輩は、部屋のドアの近くで立っている。




「何ですか?」

光輝先輩の目は同情に染まっていた。潤んだ瞳で、美優を捉えている。

慶太はどこまで話したのだろう?
そんな事が頭を過る。




「同情しに来たの?やめてよね。」

キツイ言い方をしてしまう。だけど、自分が抑えられない。

同情して欲しい為に、慶太は光輝先輩に言ったんじゃないって事は分かっている。

だけど、そんな瞳をされると、目のやり場に困って、耐えられない。




「同情はした。
けど、その為に来たんじゃないから。ただ、謝り来ただけ…」

「何でも謝れば良いって、もんじゃないよ!
光輝先輩の言葉で、どれだけ傷ついた人がいると思ってるの?
ふざけないで。」

また人に八つ当たりをしてしまった。

光輝先輩が全て悪い訳ではないのに、目の前にいる人に当たり散らして、人を傷つけているのは美優なのに…

人の事言えないのに。
自分に苛立つ。