慶太が強引になるのは、珍しかった。

多分、慶太も気づいたのだろう。
竜が変だったのは、光輝先輩が関わって居るってことを。

そうで無ければ、こんな行動を取らない。




取り敢えず光輝先輩を、慶太の部屋に招いた。

美優も慶太の部屋に入る。

光輝先輩に変な顔をされたけど、そんなの関係ない。

美優はお構い無しに、ドスっと慶太のベッドの上に腰を下ろした。




「飲み物持ってくるから。」

そう言って慶太が部屋を出て行ってしまった。




この空間には美優と光輝先輩しかいない。

気まずいけど、正直チャンスなのかもしれない。

思いきって口を開いた。

「あの…」

いざ言うとなると、緊張して声が裏返ってしまう。

光輝先輩は美優の瞳を捉え、偽っている様にも見える優しい顔を美優に向けた。

「なに?」

「竜に、何を言いに来たんですか?光輝先輩は、竜に何の用があるんですか?」

美優なりの精一杯の質問だった。

変な勇気が持てたのは、慶太の部屋に入るまでだったのかも。

もう勇気は緊張に押し負けてしまっている。

光輝先輩は、"何も聞くな"そんな瞳をしていたから、尚更言い難かった。