「美優…ありがとな」

竜は美優に顔を埋めたまま囁く様に言った。




「うん。私何も出来なくてごめんね。」


「何いってんだよ?こうしてくれるだけで十分だよ。」


「ありがと。私人のこと言えないけど、ちゃんと尚さんにも光輝先輩にも向き合って、この事を乗り越えて欲しいよ。竜には。」


「おう。向き合う様に努力する。」

抱き合う強さを弱めて、2人は顔を見合った。




竜は美優から出た涙を拭いた。

「ありがとな。」


「うん。」


「今日は早く寝るんだぞ?」


「うん。竜…?何かあったり辛かったりしたら、私に言ってね?」


「うん。勿論。美優もな?」


「うん。隠し事は禁止ってことね。」


「なんだそれ?
わかったよ。」


さっきとは違って、和やかな雰囲気になる。






美優は自分の部屋に戻るのを、少し躊躇った。

今日は竜を1人にしたくなかったから。