美優はお母さんの言う事を、何が何でも聞かなくちゃいけない気がした。
無我夢中で階段を駆け上がって、バックを掴んだ。
部屋を出る時に、目に止まった…写真の中で幸せそうに笑う3人家族が居た…
その写真を無意識に伏せて…またお母さんのいるリビングに行った。
「お母さん…持ってきたよ…」
「……封筒を…取り…なさい…」
「…うっ…ん」
美優は椅子を使って、食器棚の上にある封筒をバックに押し込んだ。
意識が遠くなっているみたいる感じのお母さんは…
「美優…ありがとう…
こんな…お母さんを…許してね…」
「……」
その言葉を最後にお母さんは、目をつぶってしまった。まるで、全ての力を絞りきったみたいに。
「お母さん…?
お母さん!?起きて!!
美優を一人にしないでー!!」
お母さんから何も返事がない…握っていたお母さんの手はだんだん冷たくなっていた。
「いやだ…いやだ…………!?」
――ガチャ――
玄関のドアが開いた音がした…誰か来た…