背中を向けてまだ歩き続けている竜に
「授業は?」
唐突にそんな事を聞く。
「は?お前、あんな状況で授業出れる訳?
俺は出ても良かったけど、美優は辛いだろ?」
「えっ…うん。ありがとう。」
「おう。」
こんなにも竜が美優の事を考えてくれている事なんて、知らなかった。
凄く嬉しくて、思わず涙が出そうになる。
「なんで、昨日の事知ってたの?」
「どうだっていいだろ。そんな事。」
もう言っても教えてくれないな。と思った美優は
「どこ行くの?」
話題を変えてみた。
「どこ行きたい?」
「んー。この町を探検してみたい!」
「なんだそれ。まぁいっか」
「うん。」
竜がこの町で一番賑やかな所に連れて行ってくれた。
町の一番賑やかな通りには、八百屋さん、お魚屋さん、揚げ物屋さん、若者向けの洋服屋さん、などがあって、この町の中心的な場となっている様だ。
「放課後とか、皆ここたまるんだ。」
竜が説明してくれた。
「へぇ。楽しそう。」
「あぁ、楽しいよ。」
そう言ってニッコリ微笑む竜の顔が、凄くカッコよくて…その笑顔を向けられた美優は、
優ちゃん達がヤキモチやいたのが分かった気がした。