「お帰り。遅かったわね。」
「ただいま。」
玄関で迎えてくれたおばさんは、心配そうな顔。
「ご飯できてるわよ」
「カレーの美味しそうな匂いがする」
「あたり♪今日のご飯はカレーよ。」
こんな会話に安心感を覚える。美優にはこんなにも幸せを与えてくれる家族が居るんだと。
リビングに行くともうテーブルには慶太と竜が座っていて、心配そうに美優の顔を伺った。
「放課後どうしたんだよ?待ってたんだぞ。」
竜がちょっと怒った口調で言う。
「あっごめんね。ちょっと寄りたい所があって。」
「それなら、一言ぐらい言えよな。」
「うん。」
優ちゃん達に呼び出されたなんて、口が裂けても言える訳がない。
心配をかけさせたくないし、迷惑をかけさせたく無いから。
不自然な美優の口調に、疑問を持った様子だったけど、なんとか気づかれなかったみたい。
嘘を隠すのが苦手な美優にしては、手柄だな。なんて自画自賛してみた。