「…お母さん?」


目の前に倒れてる…ボロボロになったお母さんの背中が見えた。

ただ、寝ているだけかもしれない。そう自分に言い聞かせながら、お母さんに歩みよった。


イスが倒れてたり、お皿が割れてたりするぐちゃぐちゃの床に、お母さんは傷だらけの体で横たわっていた。

かすかなリズムのある、心臓の動きでまだお母さんが生きている事を確認した。



こうなる事が前から分かっている気がしていた。だけど、それに近い現実が今突き付けられている事に酷く動揺した。




「お母さぁぁーん!」

美優の泣き叫ぶ声が、リビング中に響いた。


「…美優?」

お母さんはゆっくりと瞼を開けた。そして、力絞った弱々しい声が虚しく部屋に響いた。


「お母さん!?大丈夫!?」

「美優…ごめんね…こんなお母さんで…許してね?」

「お母さんは、何も悪くない…。美優はお母さん大好きだもん。」

「ありがとね…美優…」

お母さんは声にならない悲鳴を上げて、歯をくいしばった。

また美優の体が激しく、震え始めた。もしかしたら…今日起こるのかもしれない。恐れていた事が起こる様なそんな感じがする。