何時間タクシーに乗っていたのだろう。
辺りは暗くなっていて、街灯の少ない道は、月に照らされている。
「お客さん、着きましたよ」
いつの間にか、目的地に着いていた。こんな田舎に、明美おばさんの家があるなんて初めて知った。
さっきまで居た美優の地元が、凄く都会に見える程だ。
「あっ、はい」
自分でも、ビックリする様な大金を封筒から出し、払って、タクシーを降りた。
タクシーを降りて、美優の目の前にあるのは、周りの家と比べて少し大きい真っ白い家。
家の門の名札にはちゃんと"高瀬"と書いてある。
ここが今日から私の住む家なのかな?おっきな家。
明かりを灯す家からは、大きな笑い声、幸せそうな声が聞こえた。
お母さんとの約束…それは、私が幸せになる事。
お母さん、私何があっても幸せになるから。
お母さんとの約束守るから。
真っ黒い空に、似合わない位キラキラ光る星。
見ててね…お母さん…
私を空から見守っててね。無言の夜空にささやいた。
つばをのみこんで、家のインターホンに手を伸ばした。
気持ちを楽にして、見えた光に期待を持って…