願いは届いたのか、なんとか家にたどり着いた。
でも、すぐ真後ろには齋藤がいる。
急いで、玄関を開けて閉めた。
ガチャガチャ!
玄関中に響き渡る、ドアノブをガチャガチャする音…
それに気づいたのかお母さんが驚いた顔で玄関にやってきた。
「お母さん…助けて…齋藤が…齋藤が…」
血相を変えたお母さんは急いで、どこかに電話をした。
どこに電話しるかなんて分からない。
怖くて、怖くて、ずっとガチャガチャいっているドアノブを、押さえていることしかできない。
「大丈夫だよ美優。もうすぐの辛抱。」
そう言ってお母さんは美優を抱き締めてくれた。
涙でぐちゃぐちゃになっている、美優の顔をそっと撫でた。
それから直ぐに…
サイレンがなる。警察官のサイレンが。
ガチャガチャする音が消えて、玄関のドアの向こうで、暴れている音が激しく聞こえた。
その後…
「警察ですが。高瀬さん?大丈夫ですか?」
お巡りさんの声が聞こえた。