竜は黙って美優の手を引きながら、家の方向にそれた道を歩いていく。
まだ…変質者は居るのかな?
そんな事を思って居たら、竜はいきなり足を止めた。
……
周りからは何の足音も聞こえない。
もう居ないみたいだ。
「もう大丈夫かな?」
「あぁ」
美優と竜は、速足で遠回りしながら家に帰った。
「美優ちゃん!大丈夫?怪我ない!?」
お母さんが真っ先に玄関に飛び込んで来た。
「うん、大丈夫。ごめんなさい。」
「もう、1人で出掛けないでね。」
「はい。」
お母さんにたくさんの心配と迷惑をかけてしまった。
でも、何かがおかしい。家族の様子が、まるで恐怖に迫られている様な感じの雰囲気。
それを聞いてはいけない気がした。だから、美優は気づかない振りをして、自分の部屋に戻った。
何かがおかしい…
美優が居ない短時間で、竜も慶太もなんか違う。
お母さんとお父さんはそのちょっと前から様子がおかしかった。それと担任も。