ぐしぐし、ぐしぐし、と洟をすすりながら、私と同じ顔カタチをしている姉の南生は泣きながら私に訴えかけていた。

「いくら人数あわせだからって……ひっく……私がいるのに、合コンに行っただなんて、信じられる?」
 
私の泣き顔もきっと同じなんだろう、などと彼女を前にしてぼんやりと思っていた。まばたきが多くなり、ほんの少し紅潮した頬の上に、涙の粒が滑るように流れている。そして口はへの字に歪んでいた。
 
私は南生に、帰宅するなり玄関で抱きつかれ、泣きつかれ、そのまま引っ張られるようにして彼

女の部屋へ連れ込まれた。
 
私はまだ着替えさえしていない、制服のままだった。

「だけど伊津くんは正直に話してくれたんでしょう? 浮気心があったわけじゃないんだし。人数合わせだって、きっと伊津くんは友だち思いの証拠だよ」
 
カーペットの上に正座を崩して座っている南生に語りかけた。
 
伊津くんは彼女思いで、ちゃんと南生のことが好きだということを傍目から見ても伝わってくるのに、それでもそんな合コンだとか小さなことをきっかけに南生は悩み、こころをシャッフルさせているのだ。

あんなにおしどり夫婦なふたりなのに、やっぱり恋というものは厄介なものだ、と私は改めて思う。