けれど、ひとは必ずどこか変わっているものだと私は思う。
 
茶トラの猫が何かを察知したのか、ぴくっとその小さな身体を震わせ、後ろを振り返る。私が見遣っても木々が生い茂っているだけで、別に他の猫が来たというわけではない。しかし、猫は半月形になった魚肉ソーセージをその場に残し、たっと走り去ってしまった。
 
学校の敷地内では茶トラ、ブチ、黒猫など様々な猫が暮らしている。あの茶トラの猫は誰か友だちの猫に呼ばれてどこかへ行ってしまったのかな、とふと思った。
 
ピンポンパンポーン――そこで青空を割るような校内アナウンスが流れた。

“本日16時より、文化祭実行委員会を行います。各クラスの代表は参加するようお願いいたします――”
 
やれやれ、私も参加しなきゃならない。これで今日の放課後は潰されると重いため息が出た。
 
どの部活にも所属していない私は、いつも悠々自適な放課後を過ごしていた。
 
私の3つ子の姉、南生(なお)は彼氏の伊津くんという他校の子とデートしているし、妹の玖生(くう)も複数のボーイフレンドと積極的に街へ繰り出していたり、彼氏である大地くんと仲むつまじくやっているだろう。