「そうかぁ。南生ちゃんは甘党なのにね。3つ子って云っても、好みは違うんだね」

「紗生も甘いものは好きだよ。私だけかな、紅茶に砂糖入れないのは」

「そうなんだ。――あ、南生ちゃんからメール来た。ごめん。ちょっと急いで行ってくる」 
 
伊津くんは颯爽と走り出し、行ってしまった。
 
私は街の雑踏に取り残されたまま、大空を見上げた。
 
無条件で伊津くんの愛情を受けられる南生が羨ましい。
 
同じ顔かたちなのに、伊津くんは私のことを何とも思っていない。性格が違うから、相性も違うのだろうけれど。
 
伊津くんは、私じゃなくて、どうして南生を――この悲しい思いが溶けているから、今日の空はこんなにも青いんじゃないかと思う。
 
私は大きく息を吐いた。