「もうっ!」

「手ぇ繋いだだけで鼻血ブーか。お笑い種(ぐさ)だよな」 
 
左手の小指をつるりとハンカチで拭いきって、大地は太陽のように笑う。

「お笑い種ですみませんね」

私がぷい、とすねて見せると、大地は笑みをたたえたまま、綺麗になった私の手を握って云った。

「この子は俺のものだって。売約済みだって、しるしの指輪をあげたいんだ」
 
からかわれた後の思いもよらぬ彼の台詞に、私の胸はきゅうんと鳴る。

「ほら、それに3つ子が揃ってても、指輪してるの見ればすぐに玖生だって解るだろ」

「そっか……」
 
私が何となく頷くと、ぺしっ、と頭を叩かれた。

「ウソだよ。同じ顔が揃ってても、玖生はこの子だってきっと解るよ」

「どーだか」

「解るよ」

「この間、私、南生のフリしてたの気がつかなかったじゃん」

「あははは」