私は思わず自分の手をスカートのポッケに入れてしまう。

「なんだ、恥ずかしいのか?」

「うん……」
 
私の挙動に、大地はカカカと笑う。私でもこんな玖生はおかしいと思う。

「伊津クンとやらと、平然と手ぇ繋いでたじゃんか」

「あれは――、きっと、本気で好きじゃなかったから……」
 
語尾が少しずつ小さくなってしまう。けれども大地はちゃんと聞き取ってくれたみたいだ。

「俺のことは本気で好きってことか」

「……たぶん……」
 
だって、こうも縮こまってしまうなんて初めてのことだ。これがきっと、恋のしるし。

「じゃあ、手ぇ繋ぐのは、いいや」
 
大地は淡白にそう言って、また歩き出す。
 
彼の言葉に、ほっとすること半分、ちょっと残念な気持ちが半分だ。乙女ゴコロは複雑だ。