「紗生、あんたいつからそこにいたの?」
 
私は半ば驚いて、近寄ってくる紗生に問いかけた。

「校舎の窓から、あんたとあの子が見えたから。また悶着かと思って、来た」
 
淡々と話す中に、私を心配してくれている紗生の気持ちが見え隠れする。姉妹愛を感じるよ、紗生。

「ごめんね、ありがとう」

「いや、別に……」

「紗生にも早く、彼氏ができるといいね」

「いや、別に……」
 
南生みたいに乙女じゃないけれど、私たち女の子だもんね。
 
紗生にも早く、恋というものに目覚めて欲しいと、先を歩き始めたその後ろ姿にそっと願った。