くっ、と私は唇を噛んだ。

「3つ子ならではの、悩みかぁ」

「うん」
 
私はしゃくりあげながらも、大地の言葉に同調した。

「いや別に、3つ子だとか姉妹だとかは関係ないか。顔でつきあってるわけじゃないだろ。よくあることだよな。思い人に他に好きな奴がいるってさ」
 
そうか……そうだ。大地の言う通りだ。
 
片思いのハートの欠片なんて、この世に無数に存在しているのだ。

「玖生は、別に姉ちゃんたちと比べなくてもいいと思うよ。姉妹だろうが、3つ子だろうが、所詮ひとりひとり別の生き物なんだから」
 
ふわり、とあたまが暖かくなった。
 
私はふと、ナプキンを目から外し、外界を見た。
 
すると大地は腕を伸ばし、私のあたまを撫でてくれていたのだ。
 
雨のあとのやわらかな日差しのように、やさしく、やさしく撫でてくれていた。
 
胸がきゅん、ってなった。