フリーズしてしまった私に、大地は真っ直ぐ瞳を向ける。
 
大地って、何だか優しい目をしている。
 
綺麗なアーモンド型の目。黒くてまあるい瞳。総てを受け入れてくれるような深い色をしている。
 
私の涙腺は、うりゅ、とふやけた。
 
この瞳の前で、感情をコントロールすることが、できない――。
 
私の頬をつーっと熱いものが伝う。
 
大地は突然泣き出した私に動揺もせずに、紙ナプキンを渡してくれた。優しい言葉を添えて。

「泣いてもいいよ。何かあったんだろ」

「――……」
 
このひとになら、総てを話しても受け止めてくれるだろう。
 
ただ、云ったところでどうにもならない。
 
伊津くんに告白するなんて、もっての外だけど、大地に話すのはもっと見当違いだと思う。
 
天真爛漫の玖生に、涙は似合わない。