「反動で、街で男を逆ナンパってか」
 
森村くんがどんどん突っ込んでくる。

「別に彼氏欲しーとかじゃなくて、単に男友だちが欲しいってだけよ。女はめんどい」

「まあ、その逆ナンにひっかかった俺も俺だけどな」
 
今度は指の関節をコキコキ鳴らして森村くんは言う。

「まあ私、黙ってりゃ可愛いし」

「そうだな」
 
半ば冗談で捨てた台詞を、森村くんは拾う。

「南生なら性格も可愛いし、完璧よ」

「南生って、一番上の姉ちゃんか」

「そう」

「もうひとりの姉ちゃんの名前はなんつーの?」

「紗生」

「南生に紗生に玖生か」

「そう」

「今度会わせてよ」