私はさっきオーダーしたパイに手をつけた。
 
ぽろぽろと、皮が剥がれ落ちる。一気にぱくついた。

「正反対なのと、かすりもしないのが、ひとりずつ」
 
口にパイを入れながら話す。“女の子なんだから食ながら物を話すな”大地にそう言われそうだった。

「へえ、“姉ちゃん達”って、玖生って3姉妹?」
 
大地が興味深そうに瞳をくるんと回した。

「3姉妹。3つ子よ」

「へえぇ」
 
大地はその黒い瞳を見張る。

「でも別人。1番上は乙女だし、2番目は淡白だし」

「3番目は男女(おとこおんな)ってか」

「そう」
 
森村くんのまたもや失礼な発言に、私は難なく頷く。

「見てみてぇよな、3つ子」
 
森村くんはいつも言う。