手を伸ばした後、彼はコキコキと首を左右に傾げ、そのままぐるりと、あたまを回す。

「私、さっき起きた」

「俺も同じようなもんだよ」
 
きゅっと唇の端を締めて森村くんは言う。
 
そして、もう一度大きなあくびをする。
 
私もつられて、ふあぁと大きなあくびが出た。

「あくびする時ぐらい、口に手ぇ添えなよ。女の子なんだし」
 
おかわりしたコーヒーに、砂糖を溶かしながら大地は苦笑する。

「女の子女の子って、うるさいなあ」

「あ、こいつ女じゃねーから」

「そうよ」
 
森村くんの失礼な発言に、思わず私は同調する。

「でも、姉ちゃんたちとは性格違うんだっけな」
 
今度はテーブルに肘をついて森村くんは言う。