ピンクが私のイメージカラーだと、ついさっき伊津くんに云われたことも相まって、私のちいさな胸は、ずきずきと痛む。

「大地は目ざといよね」
 
私はそんな複雑な感情を抱いたせいか、棘のついた言葉を返した。
 
そしてやっと私たちの番になり、私はいくつかの甘くないパイをオーダーし、それをトレイに載せ、大地はなみなみに注がれたコーヒーカップを手にし、それぞれ席に戻った。

「ところで何で、大地がいんの?」
 
私は森村くんに尋ねた。
 
彼はやや吊り目気味の目をごしごしと指の腹でこすり、

「いや、今ドーナツ百円だから、食いたいと思ってさ。夕べのメールで玖生のことも誘おうかと思ってたけど、お前、甘いもの好きじゃないだろ」

「じゃあ、初めから大地と来る約束してたの?」
 
森村くんは長い腕を万歳するかのようにうーっと伸ばし、あくび混じりに頷いた。

「ごめん。朝方までメールして」

「いや、別にいいよ。どうせ待ち合わせも午後だったし。丁度玖生からさっきメール届いた頃かな。時間的には」