「よッ!」
 
森村くんは、私がミスドの店内に入るなり、その姿を見つけ出し手を挙げて席を示してくれた。
 
――のは、いいんだけれど。

「大地――」
 
森村くんの隣には、大地がいたのだ。

「よぉ」
 
彼は私に満面の笑みで声をかける。

「よぉ」
 
私も同じ言葉を返した。
 
もう、会うことはない人だと思っていたから、半ば驚きを隠せなかった。

「玖生はもう、大地と知り合いなんだってな。さっき聞いたよ」

「ああ……うん。この間カラオケ行った」
 
それでも私は平静を装いながら、彼らのテーブルに近づき、椅子を引いた。
 
この店に随分早くから来ていたのだろうか、テーブルには食べ散らかした残骸。それでもまだ2、3個のドーナツが残っていた。