「伊津くんの話相手にでもなってあげなさいよ」

「……うん……」
 
私はそれがはばかれて、こうキッチンでうろらうろらしていたのに。
 
仕方なく私はリビングへ戻る。

「可愛いパジャマだな」 
 
戻るなり、伊津くんは嬉しいことを云ってくれる。涙が出そうだ。
 
私は、襟のついたピンクとグレーのストライプのパジャマを着ていた。
 
何てことのないパジャマを、彼は目を細めて見てくる。

「別に可愛くないよ」
 
私はちょっぴり反抗してみる。何となく。

「玖生ちゃんは、ピンクが似合うね」
 
にこにこと、日曜日の日差しのような暖かでやわらかな笑みを私に向ける。
 
私はぎゅっ、と指を隠すかのように拳を握り締めた。
 
おととい塗り直したばかりの爪には、ピンク色のマニキュアが塗られていた。
 
指が、照れていた。

「……南生には、何色が似合うの? 私たち3人、同じ顔なのよ」