古文のジジイが教科書を丸めて立っていた。どうやらその教科書で頭を叩かれたみたいだ。
 
そのまま、丸めたテキストをぽんぽんと手の平に打ちつけている。

「そんなに並べて、店屋でも開くつもりか」

「私は逃げも隠れもしません」

「開き直るつもりか」

「はい。廊下に立ってますぅ」
 
古株ジジイだ。こいつは一昔前の体罰を好む。
 
ジジイは私に一瞥をくれると、私から離れて行った。
 
私はすっと立ち上がると、後ろのドアから教室を出て行った。
 
手の中にはマニキュアの小瓶をちゃっかり、しっかり持って。
 
私は冷たい廊下の地べたに座ると、やれやれ落ち着くわい、と漏らし、爪に色をつけ始めた。
 
つるつると爪をなでるように刷毛でポーションを塗る。
 
小指にはルビー、その他の爪にはピンクローズ。手がお花畑になるの。素敵。
 
私が陶酔していると、ガララッと教室のドアが開いた。