「私と直哉くんが結婚したら、紗生や玖生とは兄妹になるのね」

「うん。素敵だね」

「素敵だわ」
 
ふと、直哉くんが私の両手をとった。私たちは向かい合う形で立ちつくした。
 
直哉くんは、ずっとずっと傍にいてくれるのね。もし進路が別々になっても、うさぎになってオリオン座を眺めていてくれるのね――素敵だわ。私はこころの中でひとりごちた。

「あれー。南生」
 
そこへムードぶち壊しの甲高い声がした。その子はたたたっとこちらへ駆けてくる。玖生だった。

「今、紗生と大地と森村くんで、ダブルデートしてきたとこなんだ。やあ、伊津くん」
 
玖生の登場で、直哉くんはぱっと両手を離した。

「今日は星が綺麗ね。どおりで寒いはずだわ」
 
と、玖生の後から紗生がつけてきた。
 
直哉くんはにこっと笑うと、大空に向かって指さしをした。

「あれが南生ちゃん、真ん中が紗生ちゃん、一番左側が玖生ちゃん」