直哉くんのお嫁さんになりたい。
 
だけどそんなことは云える雰囲気じゃなかった。彼は私とのことよりも、勉学に励みたいと云っているようだった。

「私は――……」 
 
語尾が続かなかった。私とはどうなるの、の質問に答えない彼を目の前にして、何も云えずにいた。
 
今、高校が別々なだけでも淋しいのに、これ以上距離を置かれるとどうなってしまうのか解らない。

「南生ちゃんは、自分で好きな道、進みなね。それだけで壊れてしまう仲じゃないでしょ、僕たち」
 
強い物言いの直哉くんに、私は何も言い返さずにいた――。