いつだったか、玖生と直哉くんと、3人で来たこともあったっけ、などと思い出していた。
 
けれど。そんなことよりも。

「直哉くんは、進路どうするの?」
 
私はどうやら核心を突いてしまったらしい。彼はティーカップをソーサーに置くと、言い辛そうにぽりぽりとおでこを掻いた。

「僕は、南の方の国立大学に行きたいんだ。海底の地質の調査に興味があってさ」

「南の方……。この街を、離れるの?」

「うん」
 
彼の瞳は真っ直ぐだった。そこに意志の固さが見て取れた。

「それじゃあ……私たちは、どうなるの?」
 
急に不安の波が押し寄せてきた。彼は一体どこまで私を必要としているのだろう。

「私とは、どうなるの?」
 
私は二度尋ねた。

「南生ちゃんは、何を勉強して、どんな職業に就きたいの?」
 
逆に質問が返ってきた。

「私……。私、私は……」