「これって彼女かな。二堂の彼女にしては美人じゃん」

「ね~、この彼女、ちょっと南生に似てない?」
 
誰かの声で、頬杖をついていた私に一気に視線が集中する。

「本当だ」

「目がぱっちり二重なところとか」

「おとなしそうな小さな口とか」
 
何故か私のことが話題の中心になってしまっていた。

「南生もおいでよ。見てごらん」

「うん……」
 
私は席から立つと、迎えられるように教卓の上に置かれた携帯を見た。
 
二堂先生が三日月スマイルを見せている中、ほっぺをくっつけるようにして笑っている女の人が写っていた。

「似てる……かしら?」
 
私はその小顔で、盛られたまつげに薄くひかれたピンクのルージュの女性を見つめる。
 
紗生がお化粧をしたらこんな感じかしら、とちらっと思ったぐらいだった。