「オレンジペコ」

「美味しいよね、それも」

「うん、美味しいわ」
 
甘いお茶。私は紅茶には必ず砂糖を入れる。
 
甘いお茶と甘い恋人とのひと時。私が一番の至福を得る時だ。

「それにしても、今日は散々な日だったわ」

「携帯取り上げられたこと?」
 
首を傾げ、真っ直ぐな丸い瞳で私を見返す。

「それもあるけれど――」
 
紗生と間違われてこめかみゲンコツをされたことを話した。

「へえ、女子校に彼氏連れ込んじゃうんだ。紗生ちゃんもやるねえ」

「本当よ。私びっくりしちゃった。玖生ならまだしも……」

「だけど、紗生ちゃんも玖生ちゃんも似てるよ。もちろん、南生ちゃんも」

「私たちに共通点ってあるのかしら」
 
顔カタチはそっくりだけれど、思い当たる節がない。

「時々、突拍子もないことをするところ」