“今日の放課後会おうよ。いつもの場所で待ってる”

“あれ? 今日都合悪かったかな?”
 
最後のメールが来たのは今から10分程前のほやほやのものだった。
 
私は空白の時間を取り戻そうと彼にそのまま電話をかけた。メールだともどかしかったからだ。

『TRRR……TRRR……TRR……プツッ』
 
3回目のコールで繋がった。

「もしもし直哉くん? ごめんね、連絡できないで」

『いや、今南生ちゃんの声聞いてほっとしたよ。大丈夫』
 
見えない糸から聞こえてくる、直哉くんのほんわかした声。私も自然とほんわかしてしまう。

「今行くね。駅前のオブジェ前」

『うん。待ってるよ。急がなくていいからね』

「ありがとう」
 
私は携帯を閉じ、鞄を置きっ放しの教室まで急いで戻ろうとした――ところを、がしっと肩を掴まれた。