どうして別れの瞬間はこうも淋しいのだろう。暖かいお布団から無理矢理剥がされる気分だ。
 
名残惜しい。けれど、離れなくてはいけない。直哉くんとは帰る家が違うのだから。
 
私はポッケの中から家の鍵を取り出した。
 
家からは窓から零れる光があるから、誰かが帰宅していて、鍵も開いているのだろう。
 
私は冷たく光る鍵を、やがてくっきりと姿を現したお月様にかざした。
 
直哉くんと同じ家の鍵を持てたなら。
 
私は太った満月に願いを放った。