南生ちゃんたちというのは紗生と玖生のことも含んでいるのだろう。
 
私たち3人は一緒に歳をとる。一緒に大人の階段を上るのだ。
 
次の誕生日で私たちは17歳になる。早く大人になりたい。
 
そして早く直哉くんと一緒になって、穏やかな家庭を築きたい。
 
すぐ横に彼がいるのに、私はもっと彼を欲しくなってしまう。彼に対して貪欲になってしまう。
 
私たちは無言で歩いていた。私のしゃっくりはまだ続いていた。
 
ぐしゃぐしゃになった直哉くんのハンカチを片手で握りながら私は歩いていた。
 
やがて家の前まで着くと、直哉くんは繋いでいた手を離し、私と向き合った。

「風邪引かないようにね」
 
やわらかな笑みを見せてくれる。

「それから……ごめんね。嫌な思いさせちゃって」
 
私は黙って首を左右に振った。

「じゃあね」
 
そう言うと彼はおでこにキスをくれた。
 
冷たい彼の唇。ずっと触れていて、暖めてあげたい。