私は、直哉くんが寄り添ってくれているその優しさに甘えて、どんどん泣き続けた。
 
泣いて泣いて、涙が枯れると、今度はしゃっくりが止まらなかった。彼がただ黙って私の隣にいてくれた。

……くしゅん。
 
ふと出た自分のくしゃみで我に返った。
 
周りを見渡すと、もう日が暮れかけていた。
 
あんなに子どもたちで賑わっていた公園には誰もいなくなっていた。
 
誰かが忘れていったサッカーボールが芝生の上でぽつんと寝転がっていた。

「落ち着いた? 寒くなってきたね」
 
やわらかな声を直哉くんは投げてきた。

「風邪引いちゃうよ。帰ろう。ね? 送っていくから」
 
彼はすっと立つと、私の手を引いて同じように立たせてくれた。

「もう少しでオリオン座が見える季節だね」
 
手を繋ぎ、ゆっくりと歩き出しながら彼は云う。
 
夜は濃いブルーに染まりつつあった。明るく輝く星がひとつ、浮かんでいた。

「南生ちゃんたちの誕生日ももうすぐだね」