「欲しいわ」
 
すると直哉くんはにこっと笑った。

「僕もこれ、気に入っちゃった。2つ買おう」

「おそろいね」

「そう、おそろい」
 
そうして私たちは大満足でお店を出た。
 
また目星のつくお店はないだろうかと、当てもなく店内をうろうろしていた。

「南生ちゃんって、ブランド品とか興味ないんだね」
 
立ち並ぶブランドのお店はずっとスルーしてきた。

「ブランド品」
 
私は繰り返す。

「プラダの靴だとか、グッチの財布だとか」

「うーん。あんまり興味ないわねえ」

「高いよね。その分、素材がしっかりしているんだろうけど」

「高いわよねえ。高校生のお小遣い程度じゃ、買えやしないわ」

2匹のうさぎの入った袋を直哉くんは右手で持ち、左手で私の手を繋いでくれる。