私はうさぎのぬいぐるみ抱いて直哉くんと電話したりしていて、紗生は勉強したり本を読んだり委員会関係の書類を書いていたり、玖生は部屋で音楽をかけながら陽気に踊っていたり、長電話をしながらネイルを塗っていたり……と。
 
家々によって生活というものがひとつひとつ違うのだ。
 
同じ鍵を持つ者同士によって構成される。
 
私は、直哉くんと同じ鍵を持ちたいと思う。
 
いつか、2人が大人になって、自立することになったら、直哉くんと同じ生活を、同じ空間を持ちたいなと思う。
 
そしてそれはきっと、幸せなものになる。
 
合鍵を持つ家族が増えて、そして私たちの子どもたちもいつしか私たちのように恋をして、幸せになって欲しい。
 
直哉くんと、一生一緒がいい。
 
2人で家の門をくぐり抜け、自宅を振り返った時にふとそう思った。
 
そうぼんやりしていると、直哉くんが私の手をとった。
 
大きくてしなやかな手。
 
ぎゅっと握るのではなく、ふんわりと包むように握る。優しい直哉くん。
 
大好きよ、と胸の内で呟く。