遊び人の玖生がステディをつくるのにはびっくりしたし、寡黙で男の子になんか興味なさそうな紗生にも大切な人が現れたというのも驚きだった。
 
けれど、その分、何故か2人とも直哉くんとより仲良くなったのには、私としてはフクザツだ。
 
身長が180cmあるのに、そのベビーフェイスでキラキラと紗生たち2人に笑顔を振りまいている直哉くん。その笑顔は私だけのものなのにな。
 
実の妹たちでありながら、彼に親しくしている2人に嫉妬してしまうのだ。
 
だって、紗生も玖生とも、私は同じ顔をしている。
 
そして紗生も玖生もとっても魅力的なのだ。
 
私は直哉くんの気持ちが2人に向かないかとハラハラしてしまう。
 
紗生は聡明で物静かで大人っぽくて、玖生は奔放だけれど遊び好きで明るいし。
 
気が弱くて泣き虫な私なんか、いつしか直哉くんの瞳からかすれて見えるようになってしまうのではないかと心配なのだ。
 
私は湯煎して溶けたバターの中に、さっき切り刻んだチョコレートをざっと入れた。

「ねえ、私、お化粧した方が可愛く見えるかなぁ」
 
直哉くんの右隣のソファに腰を下ろしている玖生が、ずい、と彼ににじり寄って尋ねている。