「私の、彼氏よ」

「ひゅうー」

「やるぅ」

「紗生ちゃん、恋人いたんだー」

「学校に乗り込んでまで逢瀬するだなんて、ダイタン! ラブラブだね」
 
こんなにも私が、愛だの恋だので騒がれる立場になるだなんて考えてみたこともなかった。
 
変わっていくのだ。大空を流れる、雲の形が変わっていくように。
 
だから美しいのだ。大空も、恋心も。
 
私は拍手喝采の中、窓から射すあたらしい光を目映く見ていた。