「もう紗生以外の女と遊ばないよ」
 
見れば、彼は優しいまなざしをしていた。彼の瞳はキラキラと光をたたえていた。
 
私はリボンをかけた箱に入っていた言葉を、そっと取り出した。

「私も……森村くんが好きだよ」
 
すると彼は口許を緩ませ、満面の笑みになり「やった!」と私に抱きついてきた。
 
体勢を崩してしまった私は、お弁当の中身を地面に零してしまった。
 
するとどこから姿を現したのか、猫がやってきて、そのお弁当の残りをばくばくとついばんだ。
 
私は森村くんに抱きしめられた肩越しに、どこまでも続く、突き抜けた青空を、新鮮な気持ちで眺めていた。