何だか、肩の力が抜けてしまった。
 
私はもう、あの堅苦しい委員会に出なくてもいいのだ。
 
自由な放課後が手に入る。何もしなくていいのだ。
 
私はいつもの如く、昼休み、校舎裏でお弁当を食べていた。
 
由実たちに“たまには一緒に食べようよ”と誘われたけれど、私はひとりがいいの、と云ってここに来た。
 
空は薄いブルー。雲ひとつ無い、いい天気だった。
 
可愛がっていた猫は、今日は姿を現さない。その代わりに――。

「紗生」
 
不意に名前を呼ばれた。ここは女子校なのに、男の子の声だ。見れば、森村くんがいつの間にかそこにいた。
 
私のハートはどっくんと大きく跳ねる。
 
そんな私をよそに、彼は私の横で大の字に寝転ぶ。そして軽く目を瞑った。
 
目を瞑っても、その目は吊り上っていた。その目は、私をひきつける。