しばらく静寂が続いた。かなりの時間、続いた。

「私、やるよ」
 
やがて、そっと手が挙がった。由実だった。

「紗生が忙しくしてるの、見てたから。私も頑張ってみるよ」
 
はにかんで立ち上がる由実。
 
教室内にはぱらぱらと拍手がおこった。
 
由実にだけでなく、思いの外、それは私にも向けられていた。

「紗生、お疲れー」

「今まで紗生にだけ何でも押し付けてきたもんね」

「紗生だって、本当はやりたくなかったんだねー」
 
私はほんのりとこころが暖かくなるのを感じた。
 
皆は解ってくれたのだ。私が委員をやりたくないと意思表示をしたのが、伝わったのだ。
 
自分の気持ちを表すのは、難しいようで簡単だった。
 
何だか、あたらしい自分が垣間見れたようだった。