今日もまた、私は教師でもないのに教壇に立っていた。
 
学級委員の任期は前期、後期と分かれていて、今日は後期のあたらしい委員を選出するためのクラス会だった。

「誰か――自薦他薦ありませんか」
 
相変わらず教室内は机にうつ伏して眠っている子、友だちとおしゃべりしてる子、枝毛探しをしている子……など無関心な生徒ばかりだ。

「紗生ちゃんがいいと思いまーす!」
 
なんて投げ遣りな声も飛び出した。
 
私……私がやりますって言えば学級会もすぐに終わるのだけれども……。
 
私は昨日のアイスキャンディーをくわえて飄々としている玖生の姿、言葉を思い出していた。

「私はやりたくありません」
 
きっぱりと言い放った。
 
自分でも言うのにドキドキした。こんな人前に立って、自分の本当の意見を述べるなど、かなり勇気が要った。
 
私の台詞に教室内はしんとなった。

「私は、やりたくありません。誰か、立候補――」