「おかえりー」
 
森村くんたちを我が校においてきて帰宅すると、玄関先で玖生と鉢会った。
 
玖生はソーダのアイスを口にくわえていた。

「あら、あんた、ボーリング行ってたんじゃないの」
 
そのまま私は街の本屋に寄ってきた。それでも私より帰宅が早いとは何でだろう。

「眠たくってさー。早く帰ってきちゃった。このまま眠るよ。おやすみー」
 
夕刻におやすみ、だなんて変な言葉だ。けれど、彼女の言葉にひっかかるものがあった。

“眠たくて”――森村くんと同じことを言っている。
 
私はまじまじと玖生を見てしまう。
 
小さなあたま、ぐりぐりとした黒目がちの目、さくらんぼみたいにぷくんとした唇。
 
私と同じ造りなのに、性格は正反対だ。何故?
 
同じ三つ子なのに、なんで森村くんは玖生と仲がよいのだろう。
 
つきあおう、なんて言われたけど、彼には玖生の方が似合っているのではないか。