「違えよ。最近は、遊んでない。いや、……遊んでないというか、まあ、その」
 
語尾が定まらない彼。プレイボーイ……そうか。ひらりとした身のこなしにその言葉はよく似合う。私は何故か落胆してしまった。

「昨日のメールの相手は玖生だし」

「玖生だとぅ? お前、人の彼女にまで手ぇ出してんのか」
 
大地くんはおどけながらも、横たわっている森村くんのお腹にボディーブローをくらわす。
 
ざわざわとしていた私の心は、めらめらと燃え出した。

「やめろって。そもそも、お前よりずっと玖生との仲は長いんだぞ、俺。お前とより絆が深いんだって」

「このぉ!」

「あひゃっ」
 
大地くんは投げ出していた彼の足の裏をくすぐり出す。
 
玖生だとぅ? 私も大地くんの言葉を胸の中で繰り返す。

「森村くん、玖生のこと好きなんじゃないの?」
 
冷たく重い声が出た、と自分でも少し驚いた。